思いもよらない感想に感激



昨日、「アートにエールを!」にご協力いただいた保護司の永井輝信さんと、お目にかかりました。永井さんは、今回の「アートにエールを!」に、私が参加した作品の物語を書いた方です。永井さんの物語がなければ、この作品はできませんでした。
コロナのこともあり、制作中は一度もお会いすることなく、電話とメールでやりとりして、ようやくの再会となった昨日。
永井さんから、永井さんのお知り合いの方が動画をご覧になられた感想を伺いました。
 

ご覧くださったのは86歳の女性。
絵が大変お好きで、数々の作品を作られているんだそうです。

その方が
「この動画、絵も素敵。私は何より、朗読が素晴らしいと思った!
 明るくて、優しくて。」

そして、
「歳を取ると、年々、声が低くなってしまうから、私は「ソ」の音を意識して話そうと思うわ。」と、そこまで、思ってくださったそうです。


ちなみに、「ソ」の音を意識して話すということですが、この音階を意識して話すことで、明るい印象の声になりますし、さらには、聞きやすい声になります。私も接客研修などでは、このお話をさせていただくことがあります。
感想をくださった86歳の女性は、「ソ」の音で話すことの効果をご存知だったようです。

 
今まで、司会やナレーションの感想をいただくことはありました。その多くは、「聞きやすくて良い声で、雰囲気が良かった。」や「映像のイメージが深まった。」など、声や表現に関することでした。こういう感想も、本当にうれしいですし、私にはもったいないお褒めの言葉だなと思っていたほどです。


作品は、自分の手を離れると、それをご覧くださった方の中で、新しい物語が生まれて行きます。感じ方も受け取り方も様々です。時には、自分の思っていなかった感想をいただくこともあります。今回の感想はその一つですが、まさか、自分を変えていこうという気持ちまで抱かれる方がいらっしゃるとは、言葉にならない嬉しい気持ちになりました。


「アートにエールを!」で採用いただいた作品は、親ねずみと3匹の子ねずみの一家が、年の暮れにお腹をすかせてフラフラして歩いているところから始まります。
親ねずみは、どうして良い変わらず・・・そこに、猫が現れるという場面から始まります。

紙芝居風で子ども向けの内容ですが、私は大人の方にご覧いただけたらなと思っています。

困っている人がいたら・・・
ある人から見たら悪いことをした人がいても・・・
みんなが協力し合えば・・・


小学5年生の野村おとさんが描いた15枚もの、優しい絵が物語の世界をさらに深めてくれます。
ぜひ、ご覧ください。


アートにエールを!プロジェクト
「ねずみとおもちと殿さまと」上の画像をクリックしてもご覧いただけます。
https://cheerforart.jp/detail/5723




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三島澄恵
ユナイテッドウェーブス合同会社代表。 
元NHK-FMラジオパーソナリティでTVのナレーター・リポーターなどを経て、学校教育にも関る。
これまでインタビューした著名人は2000人を超える。 その経験や知識をブログに綴っています。
詳しいプロフィールは下記まで。
https://united-waves.jp

【アートにエールを!に参加して】見えないサポートが大きな力



先日から、東京都の芸術文化支援「アートにエールを!」の制作裏話を綴っています。今日は、その制作の陰で支えてくれた人たちのことを書きます。


まずは、何はなくても、作画を担当した野村おとさんのご両親です。お母さんは、私の高校時代からの親友です。気のおけない友ではありますが、今回の作画のお願いはかなり悩んで連絡をしました。


それは、制作スケジュールもかなりタイトで、描く枚数も少なくとも10枚には至るだろうと想像し、学校、習い事などある中で取り組むことを考えると、小学生にはかなり大きな負担だと思っていたからです。正直なところ、断られる可能性が高いと思いながら一か八かで尋ねました。
プロジェクトの主旨と私の考えを伝えて、それから、本人であるおとさんに意志を聞いてもらいました。しかし、返事は思いもよらぬほどの快諾でした。
「いい経験になるし、本人もやるって言ってるから。」と、親友から連絡をもらったのです。

それからの制作に関しては、「いつまでにどうしたらいい?」「キャラクターはどうしよう?」「絵コンテは?」といった具合に、逆に親友から連絡をもらう始末。というのも、私は番組で映像制作はしたことがありましたが、紙芝居のようなものを作るというのは初めての経験だったからです。とはいえ、お願いしたのは私なのに、恥ずかしさと申し訳なさでいっぱいでした。

今回のお話の舞台は、時代で考えると江戸時代のような感じです。小学5年生のおとさんの頭の中にはぼんやりとイメージがあっても、キャラクターを考え、実際に絵を描くにはかなりハードルの高いものだったと思います。けれど、そこは親友と親友のご主人が色々と調べてくれたようです。
私は、おとさんとご両親のやりとりをそばで見たわけではありませんが、ご両親は、おとさんのサポートはしても、基本的には、おとさん本人が考えて、決めるように導いていらしたと感じています。


それは、WEBミーティングをしたときに強く感じましたし、その後のやりとりを通しても感じたことです。私は基本的に、親友とやりとりをしていましたが、親友の口から何度も出てきた言葉は、「本人(おと)が、これが良いって言ってるんだよね。」でした。
例えば、私が好きなシーンの一つに、庄屋さまが、ねずみに耳を近づけているシーンがあります。私にはそういう構図は全く浮かばなかったので、
「こういう描き方があるんだね!すごい!」と話したところ、親友は、「おとが、これが良いって。」という答えが返ってきました。
逆に、私が「ここはもう少しこうなるかな?」という希望を伝えると、親友は「おとに聞いてみる。」と、必ず、おとさんを優先していました。

きっと、制作している間、色々とあったと思います。おとさんが、思うように描けなかった日もあるのでしょうが、上手にやる気を引き出しながら、おとさん自身が自分の力で完成できるようにサポートしていたんだと思います。



話は少しそれますが、私は企業研修などで、管理職の方に向けて部下育成のプログラムも行っています。その時に伝えるのは、「自己決定感」「自己有能感」「承認欲求」「成長欲求」をサポートする関わり方です。こうすることで、本人のモチベーションをアップさせ、かつ、自分で考えて行動する力がつきます。しかしこの関わり方は、簡単なようでなかなか難しいものです。しかも、それが関係性が近ければ近いほど難しくなります。

皆さんも経験ないでしょうか?相談を受けると、相手のためにと思いながら、自分がやり過ぎてしまったり、アドバイスをし過ぎてしまうこと。こうしてしまうと、相手の考えや気持ちが置き去りになって、結果、相手のためと思って行ったことが、相手のためにはならないことが多くあります。
例えば、親御さんが子どものことを思うあまりに、レールを敷きすぎたり、かまい過ぎたりすると、子どもは自分で決める自己決定感や自分はできるんだという自己有能感が育まれないことにつながります。
ちなみに私の場合は、両親にレールを敷かれようとして反発した口です(笑)小さい頃から、「お姉ちゃんは、看護婦(当時はこの表現でした)さんが向いているよ。」や「将来、薬剤師になるといいよ」などと父や母から言われてきました。小学生くらいまでは、その言葉をさして深く受け止めていませんでしたが、中学生くらいになって、「私に何が向いているか、勝手に決めないで!」と心の中で反抗していました。おかげで、こんあ風になりましたが・・・(笑)


今回の「アートにエールを!」で、素晴らしい作画を担当してくれた野村おとさん。その力を最大限引き出してくれたのは、ご両親だと思います。そして、おとさん自身が、自分の力でやりきった感覚を持てるようなサポートをなさったご両親の力に、私は改めて大きな学びを得ることができました。事実、おとさん自身の力でやりきったのですが。


そして、見えないサポートをしてくれた人は、もう一人います。手前味噌で恐縮ですが、それは、弊社のサウンドエンジニアです。朗読の収録はもちろんですが、編集途中で映像を見てもらいながら、BGMの良し悪しやタイミングなどのアドバイスを受けました。
私が心の中で「このBGMは、あまり良くないな〜。でも、選択肢も少ないし・・・」と思い、そのBGMを使っていると、やはりその点を指摘されました。そして、「もし、このBGMをつけるなら、無い方が良い。」という厳しいアドバイスもありました。他にも、最初の幕が開くところも、私はBGMのタイミングをあまり気にせず編集をしていると、「音をワンフレーズくらい聞かせてから幕が開き始めた方がいい」など、音響のプロとしての視点で、色々なアドバイスがありました。正直、耳が痛いアドバイスもありましたが、いいものをつくるためには、そのアドバイスをどう取り入れるかというのは欠かせないことですね。


今回は、テレビ制作のように多くの人を巻き込んで作ったものではなく、少人数で作り上げましたが、「ものをつくる」というのは、共同作業なんだということを、改めて強く感じました。何より、一人一人が「良いものをつくろう」と、前向きに取り組んでくれたことが、素晴らしい完成に導いてくれました。
表向きには出ていない人たちの大きな力、見えないサポートがあってこそ生まれた今回の作品。関わってくれた全ての人に、心から感謝するばかりです。

ぜひ、みなさんに見ていただけると嬉しい限りです。


追記
絵が完成し、郵送で送られてきた絵と同封されていた、野村おとさんからもらった小さな手紙にこう記されていました。
「いろんな人が見て、笑顔になってくれたうれしいなー😄」

この「ねずみとおもちと殿さまと」は、きっとみなさんが笑顔になっていただける作品です。お子さん向けではありますが、私はできれば、大人のみなさんに見ていただけたらと思っています。

https://cheerforart.jp/detail/5723

【アートにエールを!】小学5年生が描き上げた15枚もの絵



東京都の芸術文化活動支援事業「アートにエールを!」では、数多くの動画がアップされています。みなさんは、ご覧になりましたか?

その「アートにエールを!」プロジェクト、私が企画制作した動画もアップされています。その流れにつきましては、前回の投稿で記しましたので、よろしければご覧ください。



前回は、この物語の作者である永井輝信さんのお話を綴りましたが、今回は、この物語の絵を描いてくれた小学5年生の野村おとさんのお話です。
この物語では、15枚の絵を使っています。その絵は、全て、野村おとさんが描いてくれました。しかも、キャラクターづくりまで行ってくれました。キャラクター作りから始めた絵は2週間かけて完成に至っています。


まず、なぜ、おとさんに絵をお願いしたかと言うと・・・


私は、永井さんの物語を読んで、最初は声だけ(朗読)で形にしようと思っていました。本当は視覚的にも表現できたらいいんだけど・・・そう思ったまま月日が過ぎました。というのも、私は「絵を描く」ことが、大の大の大の苦手なんです!絵心が無いというのか、想像したものを絵にすることができないんですよね。

そうこうしているうちに「アートにエールを!」のプロジェクトの募集を知りました。「せっかくなら、永井さんの物語を大勢の方に届けたい。けれど、プロジェクトは動画だから絵か写真が必要。どうしたものか?」
そんなことを考えていたら第1回の募集には間に合わず、2回目の募集で参加することになりました。

「絵は誰にお願いしよう?」


様々な人を思い描いた中で、私の高校時代からの親友の子どもが、絵が好きで絵画教室に通っていることを思い出しました。それが、今回物語を描いてくれた野村おとさんです。小さい頃から絵が好きで、今も絵が好きで描いていると、親友から聞いていました。
私がおとさんにお願いしたのは、いくつか理由があるのですが、その大きな理由は、「大人には無い発想」です。小学生がこの物語を読み聞きして、どんな絵を思い浮かべるのだろう?どんな表現をするのだろう?大人には無い発想があるのではないか?そう思ったからです。その考えは的中しました。絵コンテ、下書きの時点で、「こんな発想は、私には無いな〜。そして、おとちゃんが描くキャラクターは、どの登場人物もとても優しい。」と思っていました。

おとさんは、今回、夏休みを使って絵を描き上げてくれました。今年の夏休みは、コロナの影響で2週間ほどしかありませんでした。短いお休みの中で、おとさんも色々と遊びたかったと思いますが、1日のほとんどを絵に費やして完成してくれました。


【下写真】野村おとさんの制作風景





おとさんの絵の制作過程を私が文章にするより、本人のコメントの方がより思いが伝わると思いましたので、おとさんが、夏休みの宿題で学校に提出したノートの一部ご紹介します。

「しょうやさまやとのさまや、昔の人の資料が少なくて大変だったけれど、お父さんとお母さんが調べてくれたので、なんとかキャラクターをつくることができました。ねずみは、1枚1枚、表情や動きをかえるのが、むずしかったです。下書きに苦戦して、ボロボロになった紙もありました。キャラクター作りから下書き15枚が終わるまで8日間ほどかかりました。それから、ぼくじゅうでふちどりをしました。細かいところはぺんでしました。わりばしやたけぐしを使いました。そこから着色です。着色〜完成までは5日かかりました。着色は、お母さんやお父さんも手伝ってくれました。
私の1番のお気に入りは、ねずみがひっくりかえってねているシーンです。光のあたり方と、しょうやさまの顔が好きです。
より多くの人に見てもらいたいと思っています。先生も、ぜひ見てください。」



いかがでしょうか?
これを読んでいただき、動画を見ていただくと、また違った視点で楽しんでいただけると思います。



今回の紙芝居風動画は、70代の永井さんの物語に、孫くらい年の離れた小学5年生の野村おとさんが絵を描いてくれました。ちなみに、永井さんには、小学4年生のお孫さんがいらっしゃいますから、おとさんとも、本当に孫と祖父という年齢差です。そこに、40代の私が加わり、三世代で作品が完成しました。


さらには、私と永井さんは都内在住。おとさんは福岡在住で、お互いに距離が離れています。おとさんとはもちろんですが、永井さんとも一度もお会いすることなく動画は完成しました。おとさんとは、WEBミーティングと電話、LINEを使って打ち合わせをし、完成品は郵送してもらいました。永井さんとは電話とメールでやりとりをしました。
実は今回の「アートにエールを!」は三密を回避して作成することもひとつの条件です。あえて同じ場所に集まらなくても、距離をつなぐことができるツールが、今の時代には数多く存在します。使う上での課題はまだまだありますが、それでも、それらを有効活用すれば、世代、場所を問わずに動画を完成させることができるんだと、私にとってもとても大きな学びになりました。


永井さんの想い、おとさんの一生懸命な想い、私の想いが詰まったこの動画。
最後は、見てくださるみなさんとつながって完成だと思っています。
ぜひ、多くの方に見ていただけたらと思います。

https://cheerforart.jp/detail/5723

https://cheerforart.jp/detail/5723